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生物由来の新しい燃料資源バイオコークス

井田民男教授

開発者:近畿大学理工学部

各企業にとって、燃料資源の枯渇問題、環境問題への対応が迫られる中、バイオマスを原料とするバイオコークスが誕生した。石炭の代替燃料として今後大きな注目が予想される。写真は、開発者の井田民男教授。


地球にやさしい新しい燃料資源

製鉄分野に欠かすことのできない固形化燃料・石炭コークス。しかし、今世界的に大きな問題となっている。そんな石炭コークスの代わりになると期待される固形燃料が開発された。この固形燃料は、生物由来の資源バイオマスから作られている。例えば、コーヒーやお茶の粕、もみ殻などの農産系廃棄物、流木や河川敷の草、間伐材や、おからなどの食品廃棄物など。全てのバイオマスが原料になる。

そもそも植物は、光合成の際、大気中の二酸化炭素を吸収する。この植物を燃料資源として燃焼した際、放出される二酸化炭素の量は、光合成で吸収した量と変わらない。よって、光合成をする生物由来のバイオマスが原料である固形燃料のバイオコークスは、二酸化炭素を排出しない環境に優しいクリーンな燃料なのだ。

このバイオコークスを開発したのは、平成12年から生物エネルギーについて研究を進めてきた、近畿大学理工学部の井田民男教授だ。これまでは、木材をガス化(一酸化炭素および水素)して電力分野に利用したり、液体燃料(エタノール化)にして、石油の代替燃料としていた。しかし、石炭の代替燃料はなかなか開発されなかった。環境問題が大きく取り上げられている現在、二酸化炭素の発生原因の半分を石炭が占めている。石油や天然ガスの代替燃料が開発されているのに対し、石炭は開発があまり進んでいないことに問題を感じた井田教授は、開発に取り組みはじめた。

原料を一切無駄にしない成型技術

バイオコークスの成型は、まず原料となるバイオマスを10%から15%程度水分を残して乾燥させる。次に、原料を細かく粉状に粉砕する。粉状に粉砕した原料を成型装置中央に設置したシリンダーに詰め込む。詰め込んだ原料を4tの荷重をかけて圧縮していく。その後、熱を加えながらさらに圧縮していく。最後に重要なある工程を経ることでバイオコークスが完成する。装置に原料を入れて、わずか40分で環境に優しいバイオコークスが完成する。しかも、この成型技術では、100gの原料から100gの燃料を作ることができる。原料を一切無駄にしない優れた技術だ。このバイオコークスにおいて、産学の連携をつなぎ合わせたのが、大阪TLOの市川さんだ。市川さんは、このバイオコークスが国の将来を担う大切なエネルギーの1つになっていくと考えている。

完成したバイオコークスは、鉄よりも硬い硬度を持つ。その硬度により、鉄を溶かす高炉に使用することが可能で、1000度まで熱に耐えることができる。鉄を溶かす炉の製造を手がける株式会社ナニワ炉機研究所で、完成したバイオコークスの実証試験を実施。その結果、製鉄の燃料である石炭コークスを20%バイオコークスに代替しても、鉄を溶かすために必要な熱量と熱効率は全く変わらないことが判明した。さらに、二酸化炭素の排出量においては、20%も削減することが実証された。実際にデータを見たナニワ炉機研究所の製造部長村田さんは、今後ますますめまぐるしく変わるエネルギー事情においてさらにバイオコークスを研究・検討していけば、いろんなものが代替できるようになるのではないかと大きく期待している。

資源燃料枯渇を救う!これからの開発

現在、より高度な研究を進めていくため、今までのおよそ20倍(20k)製造できる装置の準備が始まっている。同時に、一般的になじみ深い燃料への研究開発も進められている。井田教授は、バイオマスをバイオコークスにする技術が完成したので、さらにこの技術を発展させることで、備長炭のような性質を持つ材料開発を進めている。

大阪TLOの市川さんは、より多くの人たちに広めるため、大阪府の特許流通アドバイザーとも連携をはかり、日々奔走している。その1つとして、毎年大量に生えてくる淀川のヨシを活用しようという試みが始まった。地元の商工会議所と今後の活動計画や燃料の活用方法について検討している。高槻商工会議所の山本さんも、完成した燃料を市内の飲食店や一般家庭などに利用することで、大きな地域支援の活用になるのではないかと期待している。しかし、バイオコークスを実用化するには、原料のバイオマスをいかにして大量収集するかという大きな課題がある。都道府県レベル、或いは国のレベルでバックアップをしてもらい、大量にバイオマス収集できるシステムが作れることが望ましいと市川さんは考えている。

知恵の輪ファイル(近畿大学理工学部

この技術についてのお問合せ先

大阪府立特許情報センター
TEL: 06-6772-0704

この記事は2006年10月放映段階での内容です。


放映ムービー

バイオコークスの原料となるものたち

コーヒーやお茶の粕、農産系廃棄物など全てのバイオマスが原料となる。

放映ムービーを見る(58MB/約9分)

バイオコークスは二酸化炭素を排出しないクリーンな燃料

植物は光合成の際、二酸化炭素を吸収するので、植物を燃料資源として燃焼させた際に排出される二酸化炭素の量は、光合成の際に吸収された量と同じである。ゆえに環境に優しい燃料である。

バイオコークスの成型過程

バイオマスを10〜15%程度水分を残して乾燥させ、原料を細かく粉状に粉砕した後、成型装置の中央に設置したシリンダーに詰め込む。

バイオコークスの成型過程

詰め込んだ原料を4tの荷重をかけて圧縮。その後、熱を加えながら圧縮してく。約40分でバイオコークスが完成。

100gの原料から100gの燃料ができる

100gの原料から100gの燃料を作る成型技術で、原料を一切無駄にしない。

石炭コークスとバイオコークスを20%代替したものの温度変化

製鉄燃料である石炭コークスを20%バイオコークスに代替しても、燃焼温度(熱量と熱効率)は全く変わらないことが判明。

石炭コークスとバイオコークスを20%代替したものの二酸化炭素排出量比較

石炭コークスと20%バイオコークスに代替したものの二酸化炭素排出量は、バイオコークスに代替することで20%も削減される。


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